サーフィン好きなら、カウアイ島出身のプロサーファーの実話を描いた映画「ソウル・サーファー」を知っている人も多いはず。物語のように地元では大人から子供までサーフィンを楽しんでいる光景が日常的だ。
ハワイのイメージを問われたら、きっと誰もがサーフィンを即座に思い浮かべることだろう。サーフィンは、今や世界的なマリンスポーツの代表格であるが、実は、歴史あるハワイの文化的スポーツなのだ。古くは、ハワイで語り伝えられてきた物語や歌の中で「ヘエ・ナル」として登場する。
ヘエ・ナルとは、ハワイ語で波の上を滑ることを意味する。体を波に乗せていく「ボディー・サーフィン」、小さなフォームの板を使う「ボディー(ブギー)・ボード」、オールを使う「パドル・ボード」なども、全て波の上を滑るヘエ・ナルというわけだ。時代が移り変わり、サーフィンのスタイルが変わっても、ハワイの波は、今も変わらず世界中の人を惹きつける魅力に溢れている。
さて、ハワイの波について少し説明してみよう。まず波のタイプだが、大まかに風波とスウェル(うねり)に分けることができる。風波は、日本の海岸線によく見られる風の力によってできる波である。そして、沖を通過する低気圧が、ハワイの海岸線へ打ち寄せる波をスウェル(うねり)と言う。一般的に、スウェルは風波よりも海岸線へ打ち寄せる力が強く、サーフィンに向いている波といえるだろう。
ハワイ沖を通過する低気圧のルートは、季節によって変わる。例年10月から3月頃までは、低気圧がハワイ諸島の北沖を通過するため、北海岸のハナレイビーチやハエナ、西海岸のケカハビーチなどに、頻繁に大きなスウェルをもたらすことになる。ハワイでは、この季節をサーフシーズンと呼び、この時には世界中から名高いプロサーファーたちが波を求めてやってくる。
例年4月から9月頃は、低気圧やハリケーンが、南沖から最もハワイに近づく。この時期は、サウスショアのポイプやラワイの海岸、東海岸ではケアリアやワイルアにうねりが入る。
サーフィンを目的にカウアイに訪れる人は、基本知識としてこの季節感を知っておくと旅行の計画に役立つだろう。また、サーフィン文化が根付いているハワイでは、ローカルニュースで、天気予報と並んで波予報が毎日放送されている。しかも、うねりの天気図を使っての本格的な内容なので、寝る前に是非ニュースをチェックしてみよう。
そして、サーフィンを楽しむうえで絶対に心掛けたいのが安全だ。まして、日本と異なる地形や気候、慣れない海では、初心者、上級者、関係なく細心の注意を払いたい。初めてのサーフポイントでは、海に入る前に、その場所に慣れたサーファーの動きをじっくりと観察して学ぶことは、日本でもハワイでも変わらない。特に、ハワイの海は、小さな波であっても絶対に軽視しないことが大切だ。砂浜であっても少し沖に出るだけで、岩場や珊瑚に変わるので足の怪我にも気をつけよう。そして、地元のサーファーへの敬意を忘れずに、マナーを守って安全にカウアイの波を楽しもう。
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Column旅のワンポイントガイド
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カウアイは、他の島に比べて砂浜のビーチが多いため、初心者や子供が楽しめるビーチブレイクのやさしい波が豊富にあることでも知られている。サーフィンを経験したことがない人も、まずは地元のサーフィンスクールで気軽に体験してみよう。経験豊富なインストラクターが、サーフィンの楽しさを味わえるように、爽快な波に乗せてくれるはずだ。