サウスショアのビーチの中でも野性的な美しさを見せる、マハウレプ・ビーチ。そのすぐそばにあるのが、Makauwahi Cave Reserve(マカウヴァヒ・ケーブ・リザーブ)、洞窟保護区に指定されている、ハワイ諸島で最大の石灰岩洞窟群である。カウアイ島の最南端、マカフエナ岬の海岸線に広がる、古代ハワイとつながる場所だ。
2005年オアフの新聞「ホノルル・アドバタイザー」の特集記事につけられた
「10,000年の物語りを伝える、カウアイの洞窟」
というタイトル通り、ハワイの歴史を一変させた、知られざる過去のハワイがここには集積されている。
現在この場所は、ガーデン・アイランド自然保護開発庁がスポンサーとなる非営利団体組織で運営され、グローブ・ファームが所有。生態学者であり考古学者でもあるデイビット A. バーニー氏とリダ・ピゴット・バーニー夫人によって管理されている。
この場所が発見されたのは比較的最近で、1992年頃。ワシントンDCのスミソニアン研究所のヘレン・ジェームス、ストールズ・オルソンと仲間たちが、独自の調査からカウアイ島のこの場所に洞窟研究に最適な場所があると目星をつけ、訪ねたのがきっかけ。この場に立った瞬間に、太平洋全域の島々、そしてハワイ諸島でもっとも豊かな化石の集積場であると悟ったそうだ。
発見以降、急激に調査が進む中で次々に驚くような発見があった。数千年にわたる堆積物の中から、種子、花粉、ポリネシア人の遺物、数千にのぼる鳥や魚の骨などを発掘。古代ハワイアンの暮らしを浮き彫りにしただけでなく、人類が誕生する前の、ポリネシア人が到着する以前のハワイの森林組成や生息していた動物、植物などが明らかになった。
堆積物から分かったところによると、最初のボートがカウアイ島に到着し始めたのは、およそ1000年前。カウアイ島での3つの絶滅期の最初の一歩を開始した。第一段階では、ポリネシア人はおそらく大型の空飛ぶ鳥を打ち倒し、絶滅させたのではないかという。見つかった動物の骨からは、古代のカタツムリ、七面鳥サイズ(大きい!)の飛べないアヒル、ニュージーランドのキウイに共通する特徴を持つ、頭の後ろに目を持つ小さなアヒルのような生き物など、まさに「ジュラシック・パーク」的な歴史がヒモ解かれている。そして現在は、絶滅している多種の森林の鳥の骨も発掘されている。
また植物では、かつてはポリネシア人が持ち込んだとされていた、コアとハラの2種類の植物が、ポリネシア人到着以前に生息していたことが証明されている。キャプテン・クックが上陸した1778年以降、ヨーロッパ人が連れて来た家畜などが、さらに多くの種を絶滅に追いやったとされている。そして残念なことに、カウアイ島から姿を消した動物の多くは、この島固有のものだったと言う。
現在でもこの地区の整理作業が進められているが、その目標は、
「ポリネシア人が到着したときに、最初に見た風景を再現すること。」
だという。絶滅機種以外の、調査でわかった沿岸の植物とともに、ネイティブの草花も植え進められている。
さて、このマカウヴァヒ洞窟保護区だが、2000年に管理者のバーニー夫妻のプロジェクト当初からのパートナーで考古学者の、故ウィリアム K. ピラ・菊池氏が1世紀以上前の高校生が書いたエッセーの中から、その名前マカウヴァヒを知ったそうだ。19世紀に一度消えた洞窟の名前が、氏の、雲をつかむような粘り強い研究姿勢のおかげで復活したのだ。マカウヴァヒ・シンクホールと呼ぶ人もいるようだが、現在一般的な呼び名としては、Makauwahi Cave Reserve(マカウヴァヒ洞窟保護区)が正式だろう。
ポリネシア人が最初に見たハワイの光景・・・ 考えただけでワクワクする気持ちになる。
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Column旅のワンポイントガイド
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マカウヴァヒ洞窟保護区へは、4WD車でなければ進めない赤土地帯を通っていく必要がある。突き当たったところからは車を降りて、細いトレイルを進んでいく。その先にパカっと口を開けたように、10メートル以上の高低差のある窪地が広がり、そのひとつがマカウヴァヒ洞窟へと続いている。まさに、探検ツアーといったところだろうか。
Information
地図 | MAP |
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住所 | Koloa HI 96756 |